2011年04月08日

ノルウェーとの大陸棚海域画定の話

 昨年、ロシアとノルウェーが大陸棚海域の画定に決着がつきました。日本でも、条約が調印された9月ごろには、よく報道がされたと記憶しています。そして、本日4月8日に、この条約に関する連邦法(ロシア国内の法律)に、メドベージェフ大統領が署名をした、とクレムリン(大統領府)は伝えました。

 この大陸棚海域の画定については、「国立国会図書館調査及び立法考査局」の報告を参照したいと思います。

同海域はロシア・ノルウェー両国の沿岸から伸びる大陸棚となっており、その境界画定に関する両国の交渉がソ連期の1970年代から続けられてきた。ノルウェーは北海の大陸棚の境界線画定の際に適用された「中間線主義」、すなわち陸上国境の延長線を境界線とする方式に従い、スヴァーバル諸島とノヴァヤゼムリャ列島及びフランツ・ヨーゼフ諸島との中間線を境界線とすることを主張してきた。一方のソ連・ロシアは、この地が北極に近いことから、極地の帰属決定の方式として主張される「セクター主義」、すなわち二つの経線と一つの緯線とによって囲まれる扇型の地を帰属させる方式に従い、経線を基本とする境界線を主張してきた。


ロシア ノルウェー 大陸棚.png

 地図で見ると、このようになります。真ん中の赤線が、今回の条約で画定した線で、それより左の線が、ロシアが主張していたもので、右がノルウェーのそれです。ちょうど中間をとるように線が引かれています。

 なぜ、ここまで長年にわたり対立があったかと言うと、この海域から得られる「利益」です。石油、ガスのみならず、漁業としてもかなりの利益が見込まれるといいます。
この画定については、ロシア側が「妥協」「譲渡」した、という見方がされます。それは、この海域でのエネルギー資源開発のために、ノルウェーの技術を必要とする状況で、早期の近代化を目指すロシアが、領土という利益よりも、他国との協力で得られる現実的な利益を選んだからです。

 ロシアのガス、石油会社といえば、言うまでもなく「ガスプロム」が挙げられます。一方、ノルウェーにも、世界的な企業である「スタトイルハイドロ」があります。
 今回参照したУТОР.RUの記事には、この一連の領海画定で、「ガスプロム」がまだ技術開発を行っていない海域を、ノルウェーに渡すことになったことは、ロシア国内で批判の対象となっていると伝えています。結局、「ガスプロム」が開発しそこなった海域は、「スタトイルハイドロ」が開発計画を進めるのだろう、と記事は続きました。

 いずれにせよ、こうやってロシアが近隣諸国との早期の問題解決に力を注ぎ、国の整備を進めいていることは事実だと思います。ロシアが中国との国境問題を完全に決着させたのは、3年前だということを考えると、ロシアの外交姿勢の意図がかいま見れるのではないでしょうか。

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posted by Itta Tojiki at 23:59| Comment(0) | ロシアの外交 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2011年04月07日

極東への投資増加の見込み

 7日付けのРИА Новостиの記事に、極東地域への投資について興味深いものがありました。ロシア、極東連邦管区の大統領全権代表の、ビクトル・イシャエフ氏は、2013年までに、3兆ルーブル(約9兆円)を、2025年までに9兆ルーブル(約27兆)規模の投資をする計画があることを明らかにしました。2010年は、極東地域への投資額のうち、80パーセントが、大企業などの私営組織が占め、そのほかが連邦関係によるものだったそうです。徐々に、政府による開発も進めいく方向なのでしょう。

 ロシアが、極東開発にかなり積極的に乗り込み始めたのは、昨今の北方領土問題への肩入れ具合を見れば明らかです。広大な土地を持つロシアには、いまだに「手付かず」の地域があり、開発次第では、今後のロシアの方向性をも決めかねないくらいのポテンシャルがあります。今回の極東開発もその一つだと見て、大方間違いは無いとは思うのですが、「アジア太平洋地域の安全保障」という観点から見ても、ロシアの動きが十分納得いくように思えるのです。
 
 少し古い記事になりますが、たいへん興味深いものを紹介します。

 ロシアの極東軍備拡大、標的は日本ではなく中国(ウォール・ストリート・ジャーナル)

 日露関係、と2国間のみだけの問題のように捉えられがちですが、決してそうだとは思いません。国際社会というのは、もっと「大きな」ところに核心があるのではないか、と思うことがあります。地図を見たときに、日本、ロシア、中国が隣同士の国であることは明らかであって、いわば一番身近な外交とも言えると考えられます。

 じわりじわりとロシアは東を向きながら、戦略立てているようです。今後も、極東関連の記事については、頻繁に情報を伝えたいと思います。何たって「国境」についてのことなのですから……。

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2011年04月06日

僕のふるさと

 モスクワという街には、日本でいう「山」というものは目にすることが出来ず、そして当然「海」にも出会いません。
 
 僕が生まれ育った九州の太平洋側という場所では、東には海、西に行けば、九州山地にぶつかります。また当然、山には美しい川が流れています。南に位置しているので、冬でもポカポカな気候であるこの場所は、寒冷なモスクワとは正反対の姿を現していると思っています。
  
 福岡から宮崎に帰る際に、大分を通って行ったのですが、右手に由布岳、左手に別府湾を臨むこの場所こそ、典型的な九州太平洋側の地形だと思うのでした。

DSCF8514.JPG

 山があり、海があるということが、どれだけ恵まれた自然環境なのか、ということは、一度海外を見なければ決して分かることではなかったでしょう。帰省して、僕を育ててくれた何気ない自然たちは、あまりに「偉大」な存在なのでした。

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 これらの風景こそ、一生頭から離れることのない原風景なのでしょう。大学を卒業して働きだすことを考えると、こうやってゆっくりと故郷で過ごす時間は、ずいぶんと貴重なものだと思います。

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 サクラが満開な宮崎にて

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2011年04月05日

教科書問題(北方領土をめぐるロシアの抗議)

 去年あたりから、「北方領土」問題が過熱しています。それに伴い、例の「教科書問題」が波紋を広げているようです。

 4月4日付けのРосбалтの記事は、日本の教科書に記載されている「不法占領」(第二次世界大戦のときに、ソ連が攻め込んできた際のこと)という記述に、外務省が抗議をしているということを伝えています。
 外務省は、ヤルタ会談(1945年2月11日)、ポツダム宣言(同年7月26日)、サンフランシスコ平和条約(1951年9月8日)を持ち出し、北方領土におけるロシアの主権に疑いの余地は無いと主張。さらには、現在の日本の非友好的な気運を次の世代に引き継いでしまうことは、ただ残念なだけだ、と述べています。
 また記事では、南クリル諸島(北方領土のこと)は、サハリン南部と同様、1905年から1945年までは、日露戦争の結果、日本の領土だったが、第二次世界大戦の結果で、それらの領土は、ソ連のものとなった。ソ連の主権は、現在のロシア連邦に移っており、必然的にロシアの領土である。と説明がありました。また、メドベージェフ大統領の国後訪問、政府高官の北方領土訪問についても、日本は否定的な態度を示しているが、これは国内問題である、とありました。

 大震災に伴い、外国は同情的な立場を取り、熱心な支援をしてくれていますが、現実問題は、シビアに残っているのです。ロシアだけでなく、韓国でも領土問題について、非難決議が採られました

 昨今から日露関係は、かなり緊迫したものになりました。けれども、だからといって、ロシアの国民が、日本人は悪だ、と安易に考えているわけではありません。よく、最近の政治関係はよろしくないよね、という話をロシア人とすることがありましたが、決まって彼らは、ホントにそうだよ、とウンザリとした表情をしたのでした。つまるところ、領土問題で騒いでいるのは、あくまで「お上」の政治問題であって、国民レベルでの対立ではないという認識があるのではないでしょうか。
 しかし、日本の右翼団体がロシアの国旗を引きずるなど、侮辱行為をした際には、さすがに国民レベルで怒りをかったといいます。
日露の確執が、お互いのナショナリズムに触れたときに、この対立は取り返しのつかないものになるのでしょう。一番陥ってはならない状況です。

 最近、災害や原発関連のニュースがほとんどを占めますが、それでも世界は動いています。今回扱った記事は、今のところ日本語でのニュースはありません。もちろん災害関連が一番深刻で大事ですが、このような国際問題に対しても十分な注意を払う必要があると思います。

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posted by Itta Tojiki at 19:45| Comment(0) | 日本とロシア | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2011年04月04日

カムチャッカと新燃岳(しんもえだけ)

 ロシア唯一の火山地帯、それはカムチャッカです。ユーラシア大陸の東端から、すっと伸びているこの半島の地形は、世界地図を眺めたときに、まるで日本列島へと続いているかのような印象を与えます。

 そのカムチャッカ半島では、2005年あたりから断続的に火山活動が活発だといいます。去年は、最高峰のクリュチェフスカヤ(標高4835メートル)の噴火が報道されています。
そして、4日付けのРБКの記事は、またしてもカムチャッカで噴火が起きたことを伝えています。今回噴火したのは、キジメンという火山で、灰雲が5キロメートルほど上空まで上がり、航空機の運行などに影響を与えているとのこと。噴火の際には、局地的な地震も観測されています。

 火山、といえば、やはり新燃岳(しんもえだけ)のことを考えます。昨年から噴火が始まったこの火山は、今もなお活動中です。僕は今、実家のある宮崎にいるのですが、よく灰が降ってきます。噴火のたびに空気振動が起こり、家の窓はよくビリビリと音をたてるのです。「休火山」だとばかり思っていたこの山は、ここまでも猛威を奮っているのです。
 
東日本大震災の影響で、全国13の火山の活動が懸念されております。ネットでは、東海地震と富士山の噴火の関係性などが騒がれていますが、そうなるのも頷けなくもありません。

 今回の地震と日本での火山活動のことを頭に入れながら、カムチャッカのことを考えていると、ふと「環太平洋造山地帯」ということが頭に過ぎりました。今年2月に地震の起きたニュージーランドも、この火山地帯の一部です。

環太平洋増産地帯.png

続いて、以下は、プレートの世界地図です。

世界プレート.jpg

 こうやって考えてみると、一連の自然現象が、何かつながりを持っているのではないか、と思ってしまいます。

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posted by Itta Tojiki at 23:30| Comment(0) | 自然 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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