2011年06月13日

ウシガエルの声

 僕が住んでいるアパートの近くには、一本の小さな川が流れている。用水路ではなく、ちゃんとした川であって、周囲は東京らしからぬ緑に包まれている。
 数日前のこと、いつものように川の近くを歩いていると、妙に聞きなれた「うなり声」が耳を襲った。たった一度だけだったので、わが耳を疑った。しばらくすると、ふたたびその「うなり声」があがる。今度は断続的に、だ。ここで、ようやく確信した。「うなり声」の主は、まぎれもなく、ウシガエルであった。
 宮崎の田舎にある祖父母の家の近くには、池があった。小さいころから、そこへ泊まりに行くと、ウシガエルの声を子守唄にぐっすりと眠ったものだった。ただ、その池は、今はない。
 ウシガエルの、ドスのきいたバリトンを、東京の一人暮らしの家で聞けるなんて、何とも嬉しいめぐりあわせではないか。

 帰宅のとき、月が出ていた。けれども、明るい街に浮かびあがる月の輝きには、迫力がない。人間に変な気を起こさせるような、夜の妖艶な誘惑もなく、ただ単調にポツンと浮かんでいるだけ。だって、目の前の街灯のほうが、自分の目にまぶしく映っているのだから……。

 最寄の駅からアパートの道の途中に、わりあい大きな神社がある。夜になると、老いた木々が影をなし、神社の灯が怪しくひかり、少ない街灯が目下を照らすだけで、かなり不気味な印象を与えている。初めて歩く人は、ある種の恐怖を抱くかもしれない。どうして日本の神社というのは、夜になると、こうも不気味なのだろうか。夜に限らず、薄暗い中、鳥居をくぐろうなんていう気は、なかなか起きないだろう。人に、畏敬の念を抱かせるような、何か不思議な力があるのかしらん。

 たった15分の帰宅の途中でさえも、かくも多くの風情があることに、驚きます。注視して周囲を見渡すことは、何か精神を豊かに、楽しくさせてくれるようです。

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posted by Itta Tojiki at 22:36| Comment(0) | 自然 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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