2011年08月06日

留学説明会より――それぞれの「荒野」を目指して

 今日は、僕が留学の手続きなどでお世話になったJIC国際交流センターの留学説明会に参加させていただきました。今年の9月から出発する人たちの説明会があるということで、ありがたいことに、OBとして参加できないか、というお誘いを受けていたのでした。

 説明会では、ロシアの状況、留学先での勉強などの基本的なことがらが話され、そのつど僕が体験や現在の状況を伝えるというものでした。たかだか7ヶ月しかモスクワにいなかった僕が、こういう立場についてお話しするというのは、たいへん恐縮で柄でもないのではないかと思う部分もあったのですが、モスクワを曲がりなりにも体感し、生活してきたものとして、それを伝える役割というのは果たすべきだという気持ちがあったので、赴いたしだいでした。
 
 説明会を過ごしながら、ああ去年もこんな感じだったなあと思いをめぐらせておりました。不安よりも期待のほうが大きく、何かやってやるぞ、という気概に満ち溢れていた去年の自分を思い出します。またモスクワのころの話をしていると、あの時のことが今でも鮮明に記憶されていることが再認識され、一気に脳裏にイメージが駆けめぐっていたのでした。同時にあの時の、何かギラギラとしていた過去の自分に、現在の自分の不甲斐なさを思い知らされ、妙な「疎外感」を覚えてしまっていました。
 これから出発される方たちのことを、うらやましく思いましたし、彼らを通じて自分が照り返されていたのでした。

 今、帰国してからのことを振り返ると、自分が「抜け殻」のように、いかに堕落していたが手に取るように恥ずかしく、後悔の念とともに感じられます。

 昨日、五木寛之の『青年は荒野をめざす』という小説を読みました。読み始めてから、目の前のレポートを後回しにして、一気に読み終えたほどに熱中したのですが、それには物語の内容が大きな理由にありました。20才の青年が、音楽の本質や人生そのものについて考えながら、モスクワ、ヘルシンキ、パリ、マドリードを旅してゆき、未来という人生の「荒野」と向き合う姿に、自分を重ね合わせないわけがなかったのです。海外の空気を吸いながら、たくましくなってゆく主人公のことが、うらやましく感じられ、自分が「疎外」されるのが分かるのでした。

 作品の主人公、そして今日の説明会に来ていた人たちは、それぞれの想いを胸に、それぞれの人生の「荒野」を目指すのでしょう。
 ここ数日の出来事に、帰国してから靄(もや)がかかって見えなくなっていた、僕の「荒野」が、かすかに見えはじめているように感じます。実に刺激的な想いをしたのでした。

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posted by Itta Tojiki at 23:59| Comment(0) | 個人的なこと | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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