2011年08月24日

朝鮮半島へのガスパイプライン

 ここ数日、北朝鮮とロシアの間での首脳会談が話題となっております。核の問題や六カ国協議など、日本にとっても関連のあることがらについて話し合いがもたれていますが、今回注目したいのは、朝鮮半島へのガスパイプラインのことです。

>ロ朝、ガス輸送路敷設合意 金総書記、6者協議復帰示唆 ロシアのメドベージェフ大統領と北朝鮮の金正日(キム・ジョン・イル)総書記が24日、東シベリアのウランウデで会談した。両首脳は、ロシア極東から北朝鮮を経て韓国に天然ガスを送るパイプラインの敷設事業への協力で合意。核問題をめぐっては、金総書記は6者協議に無条件で復帰し、その際に大量破壊兵器の実験を一時停止する用意があると表明した。
(中略)
 会談後、メドベージェフ大統領は「韓国へのガス輸送について、北朝鮮と協力することで合意した」と述べた。具体策を詰めるための特別委員会の設置を決めたことも明らかにした。計画が実現すれば、年間約100億立方メートル以上のガスの供給能力があるという。
(Asahi.com 2011年8月24日20時55分)

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 記事から読むに、ロシアと北朝鮮、加えて韓国との経済的な結びつきの強化が進んでいることがわかります。しかし、近年のロシア外交を見るに、ガスパイプラインというと、経済的な側面よりも外交的なツールとしての印象が強いように考えられます。
 実際に、ウクライナでは2006年から2009年にかけて、断続的にガスの停止を強行され、昨年2010年には、ベラルーシに対しても供給を停止する政策をとりました。これは、経済協力を逆手にとった、政治的影響力の行使だと考えられます。
 ロシアからガスを輸入するというのは、効率のよい政策であることは確かであって、このように基本合意がなされるのは、メリットが大きいからでしょう。具体的には、外貨の獲得、中国への一極エネルギー依存からの脱却などが挙げられます。ただ一方で、経済的協力を強めること、とりわけパイプラインの設備でもって恩恵を得ることは、ある意味政治を部分的に明け渡すことを意味します。つまりは、北朝鮮がウクライナ、ベラルーシのように、ロシアの政治的影響を強く受け始めていくのではないか、ということです。
 もちろん、エネルギー構造が即座に変化してゆくということは考えがたいですが、長期的に見たときに、そのような外交関係が想像できるように思えます。

 少し、大局的な話になりますが、北朝鮮(朝鮮半島)の地理性を考えたときに、中国、ロシア、そして日本という3勢力がぶつかりあう、地政学的にデリケートな場所であることが分かります。大きなパワー・バランスを考慮するロシアが、北朝鮮にひとつ肩入れすることは、地政学的にも合理的なことのように思えます。

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posted by Itta Tojiki at 23:09| Comment(0) | ロシアの外交 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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