2011年11月21日

【モスクワ滞在2日目】再会

 モスクワ時間6時起床。時差の関係もあるだろうが、やはり早朝の目覚めは気持ちがよい。もっとも、モスクワはまだ真っ暗で、街はまだ起きていなかった。モスクワについてから、まだ何も食べていなかった僕は、猛烈な空腹におそわれた。さっさとシャワーを浴び、ホテル周りを歩き回るが、開いているお店がない。仕方がないので、ロビーに戻り、警備員の人に聞いてみると、近くに小さなのがあるよ、と道を教えられ、何とか食べものにありつけた。お店には、これまた「なつかしい」商品ばかり並んでいて、妙な安堵感を感じた。

 ホテル周りを歩いていると、向こうにスターリン様式の巨大な建物が臨んでいることに気がついた。そう、モスクワ大学である。僕の学んだ場であり、何よりも住んでいた場所である。早朝の薄暗さの中、ライトアップされている立ち姿は、僕の記憶を一気にかきたてた。
 友人たちとの予定の時刻まで、わりあい暇があったので、モスクワ大学周りを歩くことにした。ホテルのある駅から2駅なので、ずいぶんと近いし、何よりも記憶をたどりたいという欲求は強かった。
 駅に降立つと、もう場所が手に取るように分かる。目に映る風景という風景は、まったく見慣れたもので、かつての日常のように、僕は大学へと足を進めた。日曜ということもあり、人は少なかったが、この通学路をゆっくりゆっくりと歩いた。もう何もかもがなつかしかった。

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 落ち合う約束をしていた友人というのは、モスクワ大学に通っている日本人のことだったので、そのまま大学で再会した。かれこれ8ヶ月ぶりだった。久しぶりの対面に、話が盛り上がりながら、J-FESTのある会場へと向かった。

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 会場はパルク・クリトゥーリという駅から少し歩いたところにある。モスクワ川を横断し、車に埋もれた大通りに沿って歩く道のりは、これまたかつて何度も通ったものだった。

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 フェスタに着くと、去年のようにコスプレをしたロシア人がたくさんいたし、何よりも一般ロシア人の数もすさまじかった。主にアニメやゲームといったものが、フェスタの中心だったが、このような場面に遭遇すると、日本のポップ・カルチャーというのはいまだに根強い人気があるのだと思わされる。

 会場には、ロシア人の友人たちがたくさん来るとのことだったので、会場のどこかで会えるのだろうと気にしていると、見覚えのある顔が目に入った。それは向こう側も同じだったらしく、名前を呼び合うとすい付かれるように抱擁した。東京からのお土産をみんなに渡し、最近どうだとか、特に変わりはないだとか、何でモスクワに来たのかとか、○○は元気か、など脈絡もない話が次から次へと飛び交った。
 こんなにも喜んでくれるなんて思っていた以上だったうえ、何よりもこんなにも友人たちとの再会を喜んでいる自分に驚いた。8ヶ月という間はあったものの、そこにまったくの違和感はなかった。かつてのような日常の延長という感じがするだけだった。本当に、来てよかった。

 プログラムの団体に合流しなければならなかったので、みなに別れを告げ、会場を後にした。今度はいつ来るんだ、と聞かれ、たった半日だけの再会に物足りなさをあらわにした表情をされると、またモスクワに引き寄せられる未来が確定したような気がした。
 ひとり、来た道を戻る。モスクワ川、無数の光った目を向ける渋滞、肌を打つマイナス温度の風、ライトアップされている街のたたずまい、……。このとき、僕を構成している「軸」のうちの何本かが、モスクワにあるんじゃないか、という考えが頭に降ってきた。生まれ故郷、今住んでいる東京、そしてモスクワという「軸」。たった20年の人生だけれども、7ヶ月の付き合いだったモスクワは、僕という人間の中に、深い深い根を下ろしていたのだった。何か漠然としていた感覚が一気に明らかになった瞬間だった。そして、こんなにも自分がモスクワへ愛を持っていることを思い知らされたのだった。


 置いておいた荷物を受けとるために、泊まったホテルへと戻った。この日はスパルタク・モスクワの試合がある日らしく、赤いマフラーを巻いたサポーターが騒いでいたり、当然ながら、大量の警察が動因されたりしていた。これもまた、記憶のたどりだった。
 重いトランクを抱えながら、所定のホテルへと向かった。ロビーでしばらく待っていると、日本人の団体がやってきた。今回の渡航のメインが始まろうとしていた。見覚えのある顔もちらちらとあったので、驚いたわけだが、自分をしっかり持とうという気をもって、この一週間のことを思った。

 目的であるプログラムは、まだ始まったばかりだが、母校への散歩、友人たちとの再会を果たした僕は、もうモスクワに来た甲斐が存分にあったことを確信した。たった一日の再会、というのがまた運命性を引き立てているのだろうが、僕はこの日を忘れない。モスクワの想い出が、8ヶ月前に止まっていた想い出が、またひとつ動き出し、そして刻まれたのだった。

 「ホントに、来てよかったな……。」


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posted by Itta Tojiki at 12:49| Comment(0) | モスクワ滞在 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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