2011年11月22日

【モスクワ滞在3日目】

 朝6時過ぎに起床。シャワーを浴びて、ブログを更新し、朝食をとる。9時半にはロビーに集合し、行き先へと向かう。この日は、リア・ノーボスチ(通信社)、Russia Today(外国語テレビ)、議会および下院議員との意見交換、という予定だった。

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【リア・ノーボスチ通信社】
 前の日に歩いていたパルク・クリトゥーリ駅の近くにオフィスがある。仕事場の見学がメインで、ところどころで各部署の人のお話を聞く、というコースだった。
 この通信社についての歴史を説明された後に、外国語での報道を担当する部署へと案内された。英語、中国語、ドイツ語、フランス語、スペイン語、アラビア語など、数ある言語のセクションがあったが、日本語のそれはなかった。担当者は、日本語版サイトの翻訳をやっているのはたった一人だから、限界があるし、情報も限られてくる、とのこと。僕もたまに利用するが、彼のおっしゃる通りである。今後、正式に日本語部門ができるのかといえば、それは分からない、という。大きな理由は、語学に堪能な人材がなかなか見つからないからだそうだ。
 

 外信部でのお話はたいへん興味深かった。とりわけ日本の情報を担当する人のお話を聞く機会があったので、いくつか示唆的な事がらをとりあげたい。ちなみに担当者は、日本での就労経験もある人だった。
 リア・ノーボスチ通信社は、共同通信と良好な関係があって、そのほか朝日や読売などと協力している。ここで、ロシア側から見た日本のマスコミへの印象、あるいは日本そのものに対する印象を聞くことができた。

 日本には5つの新聞があるけれども、実際どの記事も同じようにしか見えない。おそらく「みんなに、分かりやすく」ということを念頭においてあるからだろうが、まるで機械の説明書みたいだ。ただ、自分の意見を前面に押し出すロシアの報道と比べると、日本のようなかっちりとした報道には長所も感じられるとのこと。
 また多くのロシア人は日本に対しては「富士山、桜、侍」など数十年前のイメージを持っており、若い世代はアニメや漫画を通じて日本を感じている、と。これがある意味でのステレオタイプを呼び込んでいて、また日本も然りだ、とのこと。つまり両国とも、固定観念でもって相手の国を見ようとしている、ということだ。
 そのほかについても、少しだけ言及したい。
 ――日本の記者クラブについて。
 こうやってまとまって、何かを内々に済ませようとするのは、まったく日本人らしいから、特に問題視しているわけではない
 ――ロシアの報道の自由について
 これはよくある質問で、深いものだが、果たして日本にも報道の自由というのはあるだろうか。小泉政権時代に、どこの新聞が「小泉の馬鹿野郎!」と書いたというのか。ロシアでは、こういうケースはよくある。またおのおのの記者は、自由に自己の主張を織り交ぜているので、自由という土壌はあるんじゃないか。画一的な報道の日本のほうが自由がないように感じられる。ロシアには報道の自由がない、といわれるのはとても残念なこと。

 今回は、聞いたことの報告という形をとっているので、このことを受けての考察はまた後日、書いていきたいと思う。

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【Russia Today】
 次にRussia Todayというテレビ局。ノーボスチ通信社の建物に隣接してスタジオ・オフィスがある。まずは、例のように担当者から簡単な説明があった。Russia Todayは、外国語を通じての国営衛星テレビ局。現在、英語、アラビア語、スペイン語での報道を行っている。国営、ということで政府からお金をもらっているが、これまで報道についての要請や命令を受けたことは一切ないとのこと。もっとも、メドベージェフやプーチンが、外国語で報道を見ても、ほとんど分からないだろう、と。また今後1年で、ロシア語、中国語での報道を始める予定がある。日本語はというと、先の二ヶ国語の後についで、ドイツ語の後に日本語、という優先順位になるという。
 ここでは、多くのネイティブ・スピーカー(ロシア人からしたら外国人)が働いていた。各言語の部署に行くと、アメリカ、イギリス、アラブ系の人をたくさん目にすることができた。こうやって外国人が多い理由のひとつに、給与の高さがあるという。月々12万ルーブル(30〜35万ほど)ぐらいはあるそうだ。
 また、ひとつ興味深いのに、アラビア語での報道があった。ロシアでは、高いアラビア語教育があり、歴史的に積み上げられたものだという。また、文語と口語のあるアラビア語においては、文語を採用しているとのこと。これは方言などが多様な口語を用いると、ある国では普通であっても、とある国では悪口になるなどの、アラブ諸国への配慮のためだという。

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【ロシア議会下院】
 世界史で出てきたかもしれないが、ロシアの議会「ドゥーマ」、である。まず入場するのに、いったん通行証を受け取ってから、手荷物検査、パスポート提示と経なければならなかった。
 予定変更もあって、情報政策委員会の若手議員の人との意見交換会は、1時間に限られた。質疑応答というスタンスが基本で、話題に統一性はなかったので、知りえた情報、あるいは議員の発言を箇条書きにまとまることにする。
・議員がツイッターで、日本の学生と交流する旨をつぶやき、何を話すべきかと問うたところ、「北方領土」「フクシマ」というキーワードが出てきた。
・最近、サイバーテロが頻発しているが、ロシア政府の対応としては、今後5年のうちにネット上における法整備を行う予定があるとのこと
・今後、病院のカルテ管理など行政システムにネット利用を導入する予定があるが、ロシアの広い領土を考えると、高速的な普及は難しい部分があるとのこと。
・ユーラシア共同体について。ロシアは、旧ソ連諸国において、カザフスタン、ベラルーシを除いたほかの国々は、この計画に参加しなければ、今後の発展が厳しいだろう。通貨もルーブルと統一することで、交流も深める。EUように「拡大」していくようなものではなく、コンセプトとしては、ソ連崩壊によって失ったものの「回復」を置いている。
・ロシアは現在の「資源国家」という枠組みから「技術国」としての面も強めたい意向がある。

 その後に、議会の歴史についての講義があり、ここを後にした。

 帰宅に当たっては、バス送迎だったわけだが、地下鉄で30分ほどの道のりを2時間ようするはめになった。こういう渋滞の問題の実感、という意味では興味深い体験だった。


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posted by Itta Tojiki at 14:37| Comment(0) | モスクワ滞在 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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